天地明察

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天地明察評点:★  1/5天皇制暦の問題テレビ時代劇HOME: 粉川哲夫のシネマノート
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天地明察

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天皇制
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滝田洋二郎は、基本的に天皇制には反対なのだとわたしは思う。暦に関しても、暦の正統性を認めるのは天皇で、さもなければ、その暦は、邪宗なのだ。

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時代劇

●時代劇といっても、また「昔」といっても、いまの時代からタイムスリップしたかのような映像空間をめざすものもあるし、時代劇に仮託して「現代」を描く映画もある。しかし、この映画は、その点でどっちつかずだ。テレビの「再現」シーンのようなきわめて啓蒙的なだけの時代性である。

●それにしても、好奇心が旺盛だったという水戸光圀(中井貴一)がおおげさな肉の塊を食っている(あるいは食卓にならべ、客に食わせようとする)のは(たとえ事実であっても)映像としてコンヴィンシングではない。

●このごろ、一般に、「目上」の者に対しても、最初から「お久しぶりです」という若者が多いが、安井算哲(岡田准一)が光圀にあったときがそうだった。時代劇が昔のままを踏襲しなければならないわけではない。そもそも江戸の昔のことなどわからない。しかし、あるシーンが、むかしの若い奴ならそうだったろうと思わせるのではなく、直にいまの若者につながってしまうのはまずいのではないか?

●「お久しぶり」は、自分の都合を言うのだから、自分でご無沙汰しておいて「お久しぶり」はないだろうというのが旧いロジックだ。時代劇には「目上」のロジックというものがある。そんなゲームの規則を守らないのなら、衣装に金をかけたりする意味はない。衣装も突飛なものでいいだろう。