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Bipolar Central

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双極性障害(Bipolar Disorder)の定義

 

双極性障害(Bipolar Disorder)またはBPは、これまで「躁鬱病」または「躁病・鬱病性障害」と呼ばれていた。双極性障害は、極端な気分状態――さまざまな高揚感と落ち込み感――によって特徴づけられる。症状は、病的ないしは重大な憂鬱感から、 躁病や躁病的行為を循環する。双極性障害は、「元気のない状態」の一例ではない。それは、宝くじで損をしたとか、ボーイフレンドと別れたときなどに極度のストレスや不眠を経験するといった経験の上下変動ではない。双極性障害は、患者の活動能力に重大な影響を与えうるものであり、人間関係を緊迫させ、破壊する結果を生みうるものであり、仕事の能力を貧しくし、学校や集団的環境のなかでの活動能力を貧しくする結果となる。症状は1週間や2週間では終わらない。もし、治療されぬままでいると、この障害は自殺を結果することもありえる。統合失調症と双極性障害の患者に関する1992年のジョンーズ・ホプキンス大学の調査では、患者の19%が自殺の脅迫観念を持つか、あるいは自殺未遂を起こしていることが報告されている。他の研究によると、双極性障害の患者の25%50%が、彼らの病気の経過中に少なくとも一回は自殺を試みることが指摘されている。推定では、双極性障害患者の人口の15%が、治療をうけながらにもかかわらず、自殺を試みるとされている。治療を受けない双極性障害患者の場合の自殺率は、さらにより高い。未治療の患者の場合の事故を特定することはむずかしい。そもそも、未治療の患者は診断を受けていない者が多いし、その場合は、何が自殺の引き金を引くのかが全く診断されていないからである。

 

 

双極性障害の諸原因

 

精神衛生上の障害は一般的に複数の原因から生じるが、双極性障害もそうした法則の例外ではない。双極性障害の研究によれば、この障害は、遺伝的ないしは遺伝子的な要因と、環境的な要因とが関係している。鬱状態、双極性障害、または他の精神障害の家族歴を持つ人々は、精神障害、とりわけ落ち込みや双極性障害に苦しむことがより多くなる。他の研究によると、双極性障害の患者の脳には化学的なアンバランスがあることが指摘されている。患者によっては、患者の人生、例えば配偶者の死、離婚、失業などの、ストレスの多い出来事のあとに症候が現れる。こうした出来事が起こっても、何事もない人もいるが、双極性障害の症候を引き起こす人もいるのである。

 

 

双極性障害の子供たち

 

双極性障害だと診断されるのは、大部分場合、成年期の初期であるが、研究によると、鬱状態(Depression)と診断された子供たちのなかには、実際には双極性障害をわずらっているものもいる。青年期まで起こらない場合があっても、徴候は幼年期に始まっているのである。鬱状態にあると診断された340万人に及ぶアメリカの子供と若者が、実際には、早期の双極性障害をわずらっているかもしれないのである。徴候は一時的である場合もあり、しばらく姿を消して、それから激しい形で再び現れるかもしれない。双極性障害の子供たちは、「双極性の子供たち」(Bipolar Children)とか、「双極性の子供」(Bipolar Child)と呼ばれてはならない。そうした烙印は、子供に孤立感や疎外感をあたえてしまう。これらの子供たちは、不安や気分障害の大きなリスクのなかにいるのであり、「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)に陥っているのである。双極性障害に似た他の状態もあるが、多くの医者が子供たちに双極性生涯の検査をしないので、子供たちは診断を受けないまま青年期に達してしまう場合もある。

 

 

双極性障害に関する調査と臨床研究

 

米国の大人のおよそ4.4%は双極性障害にかかっており、その数は増大している。障害は男性にも女性にも等しくあてはまり、開始の平均年齢は20代初期である。双極性障害の臨床研究と研究結果に関する詳細な情報は、国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health)と、米国政府Clinical Trialsウェブサイトで手に入る。

http://www.nimh.nih.gov

http://www.clinicaltrials.gov

 

 

双極性障害の症候

 

躁的な症候:

 

●感情の高ぶり、神経過敏、いらいら、とげとげしく、短期な感情

●「悪いことは何もしていない」と感じる、過剰に膨らんだ自己感覚、誇大な感情、不適切な判断ないしは判断力の不足

●亢進する性衝動ないしは性的欲求、抑制の喪失

●極端または普通でないやりかたで服を着たり、話したりする

●焦点をしぼることができない

●妄想、幻覚

●多幸症ないしは「ハイ」な感情

●薬物やアルコールの過剰摂取

●際限のない活力、不眠、不眠症

●怒り、攻撃性または好戦的なふるまい

●競争心の強い、非社交的な考え、極度多弁、早口

●向こうみずな出費、高速運転、危険の高い活動、結果を考慮することなくなされる諸決定

 

 

鬱状態的症候

 

●異常に活気のなく、大儀そうな気分と活力

●なおらない疲労感、睡眠の増加/減少、不眠症、過剰な睡眠

●罪の意識、役立たず、無用の者という感情

●集中や注意の能力の欠如、日常的な決定ができないこと

●薬物やアルコールの過度の使用

●自尊心や自信の欠如

●食欲や体重の極端な増大または減少

●悲しみ、希望の喪失、「何も役に立たないじゃないか」という態度

●家族、友人、同僚から身を退く

●活動、通常は刺激的で面白いと思っていた仕事にも関心を持たなくなる

●自己虐待ないしは自傷、自殺の考え、話、計画

 

 

双極性障害の診断

 

双極性障害の診断は、徴候を認知する能力のある精神科医、専門医によってなされなければならない。治療は通常、薬物療法を含むので、正確な診断が必須である。誤った薬物療法が処方されると、徴候が悪化し、副作用が起こる場合がある。双極性障害を診断するためには、医者は、「軽躁」的および鬱的状態の長い期間のうち、最低でも2年間にわたって検討を加える。子供たちの場合でも、徴候の持続期間が最低でも1年間検討されなければならない。この徴候は、社会的な場、仕事や学校や他の関連する場における重要な忍耐を必要とするのである。

 

 

双極性障害が誤診された場合

 

双極性障害は、しばしば誤診される。子供たちの場合には、それは「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)または鬱感情と誤診されることが非常に多い。大人の場合、医者は、一般的な医学状況から生じている他の障害および、以下に示す状況または障害との区別を設けなければならない。

 

    ・境界性人格障害

    ・分裂情動障害

    ・統合失調症

    ・分娩後鬱病

    ・妄想性障害

    ・甲状腺機能亢進症

    ・後天性免疫不全症候群(エイズ)

    ・癲癇

    ・月経前症候群

    ・片頭痛

    ・多発性硬化症

    ・脳卒中

    ・全身性ループス

    ・精神的外傷

    ・尿毒症

    ・ビタミン欠乏症

    ・アンフェタミン、抗うつ薬、コカイン、幻覚剤またはアヘン剤のような薬物

 

 

双極性障害の疑いがある場合は、専門的な精神医学的な見地からの相談がが必要とされる。もし他の障害が診断されていて、治療計画がうまくいっていないならば、セカンド・オピニオンが必要とされる。特に、落ち込み、躁病的落ち込み、または双極性障害の家族歴があるならば、患者はこの障害の可能性を医者に言わなければならない。(以下略)


粉川哲夫訳

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