マリー・アントワネットに別れをつげて

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マリー・アントワネットに別れをつげて評点:★★★★★時代性ワイルドカードいま臭さ読書働かないということHOME: 粉川哲夫のシネマノート
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マリー・アントワネットに別れをつげて

■Les adieux à la reine/Farewell, My Queen/2012/Benoît Jacquot

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時代性

◆1789年7月14日から7月17日までのヴェルサイユでの4日間を描きながら、時代の変化というものは感じられない。それまで服従していた者たちが裏切る気配は多少あるが、手の平を返したようなところはなく、こういう閉鎖社会では、しばらくたたないと、事態の深刻さを認識でないのかとも思う。

◆実際のヴェルサイユ宮殿を史上初に使っているとのことだが、描かれているのは史実やその解釈ではなく、いまの時代の女でもかまわないシドニー・ラボルド(レア・セドゥ)の心の動きである。彼女は、マリー・アントワネットが好きでだが、彼女のほうは、ガブリエレ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)を愛しており、シドニーの愛は、ある意味手痛い仕打ちを受ける。ガブリエレにも危険が迫ったとき、マリー・アントワネットは、シドニーにガブリエレの衣装を着て馬車で逃げるように命令する。ガブリエレは、女中姿に変装し、身の危険を守るというわけだ。シドニーとしては、マリーの身代わりになりたいところだが、史的事実を変えるフィクション化はしていない。原作(シャンタル・トマ   Chantal Thomas) との比較では、ダルな映画化だという批判もある。たしかに、原題の<王妃への別れ>というシドニーの切なさはあまり伝わってはこない。