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アカデミー賞の特番以来のアップロードである。ウェブページのスタイルで決断がつかなかった。贅肉をおとしてみたが、まだ確信が持てない。
●さて、新作『メン・イン・ブラック3』だが、3Dとしては、メガネも軽く、押さえ気味の3D感で、不自然さがなかった。メガネ(使い捨て)からすると、この3Dシステムは
masterimage社のものらしい。
● 現在を変えるために過去(1969年)にタイムスリップするというタイムスリップものの常套手段を使う。わかりにくさはまったくないが、ものたりなさもない。エイジェント”J”(ウィル・スミス)の生い立ちの謎をメインにしているからだ。ひねった”父子”ものになっている。
●1969年7月16 日、エイジェント”K”(トミー・リー・ジョーンズ)は、フロリダ州ケープカナベラルでアポロ計画を破壊しようとしたボグダイト星人のボリス(ロシア名?)(ジェマイン・クレメント)を逮捕した。ボリスはその後、月面の刑務所に収監されていたが、脱獄し、”K”への復讐を果たそうとする。それには、 1969年に逮捕された日にタイムスリップし、事態を変えればよいというわけだ。冒頭にイントロとして描かれるボリスの脱獄シーンはなかなか見栄えがする。
●1969 年の”K”を演じるのは、TLJではなくて、『ミルク』のジョシュ・ブローリンだ。TLJがメイクをして演ってもよかったが、ブローリンも悪くない。この時代のニューヨーク(MIBのオフィースがある)は、まだ50年代の雰囲気が残っていた。ブローリンが演じる”K”は、ちょっとダーク・ボガードに似ている。
●”K”を救うために1969年にタイムスリップする”J"に、時空を越えるテクニックを教える男が、「あっちにはまだ人種差別があるぞ」と脅すのが笑える。実際に、たどり着いた1969年のマンハッタンには、白人たちに怪訝な目で見られる。わずかに、長い髪のヒッピー風の男やサイケデリックなかっこうをした男女がリラックスした(だれた)感じでベンチにいたりする。が、このへんの描写はお遊び程度。
●アンディ・ウォーホルのスペース、”ファクトリー”のシーンで、ウォーホル(ビル・ヘイダー)がカメラを回している。彼は、実はMIBのエイジェントで、あのカツラ姿は変装しやすいからなのだというジョークがある。いや、案外ウォーホルはどこかのエイジェントだったかもしれない。
● 可もなく不可もない作品だが、1点だけ、解釈可能性(応用可能性)があると思ったのは、『シリアスマン』(A Serious Man)に出ていたマイケル・スタールバーグが演じているグリフィンというエイリアンだった。彼の目がなかなか意味ありげなのだが、彼は、時間の全位相を予見しているということになっている。それはいわば「神」的な位置にいるわけだが、何も支配せず(そういう能力は奪われているらしい)、解体寸前の肉体のような危ない存在に見える。すべてを見透しているとしても、それが何の役にも立たない感じが面白い。
(東宝東和配給)